青森市の歯医者「ミドリデンタルクリニック」工藤瑞恵です。

日本人は、他国に類をみない医療保険が充実した国です。

そのため、他の先進国のような“予防医療”に対する意識が発展途上国よりも低くなっています。

守られた環境だからこそ、そのシステムを利用してご自身の健康を守るか否かは個人それぞれにかかっています。

コロナのおかげというのもおかしな話ですが、コロナを経験したことで口腔内の菌がお身体に及ぼす危険や、感染症にかかりやすくなり、命にかかわることが一気に日本人に意識されました。

ただ、口腔内の菌に注目は集まりましたが、“歯の役割”と“唾液の質”について明確にどのような影響がお身体にあるのか？

虫歯や、歯周病がどんなにかお身体によく無いのか？ご存知の方は少数です。

天然の歯を用いて、会話、食事、食いしばるなどの行為は当たり前にできるようで、メンテナンスを欠かせばであっという間にきなくなってしまいます。

特に天然の歯を維持すること、噛める環境を維持することはとても大事なことです。

天然の歯の資産価値は１本80万円から100万円と言われています。つまり20本の歯は1600万から2000万の資産というわけです。

金額に換算するとびっくりしてしまいますが、その大事な資産を大事に守り続けるためには、できるだけ歯を削らないことがどれほどに大事か？わかりやすくなっていただけると思います。

天然の歯は、神経を抜いたり、削ったり、抜歯したりすると歯の機能が弱まり、噛む力が最大限発揮出来なくなります。

噛む力が弱まると脳へ送られる酸素が通常通り行き渡らなくなります。また、噛む力が弱まると唾液の働きが弱まる原因となります。

唾液には、口や身体の健康にかかわる様々な働きがあります。

• 口腔環境を整える。
  唾液には口腔内の汚れを洗い流す機能、酸を中和する。唾液に含まれるムチンというタンパク質が口の中を覆うことで外部からの刺激や乾燥から守ります。
• 細菌やウイルスから身体を守ってくれます。
  唾液にはリゾチームやラクトフェリンなどの抗菌作用が含まれていて細菌やウイルスが体内に入ることを防ぎます。
• 食べ物を消化する。
  唾液に含まれるアミラーゼという酵素が食べ物に含まれる澱粉を分解して消化しやすすくします。
• 味を感じやすくします。
  唾液には食べ物の味の物質を溶かして。舌の味を感じる器官（味蕾）で味を感じやすくする機能があります。
• 口の中の傷を治りやすくする
  唾液には再石灰化や口腔内の傷を治りやすくする働きがあります。
• 舌や喉の働きをスムーズにします。唾液は口の粘膜を保湿・保護し傷つきにくくし、舌や喉の動きをスムーズにする働きがあります。
• 唾液は耳下腺、顎下腺、舌下腺という三つの大きな唾液腺があり１日に分泌される唾液の量は1000mlから1500mlです。

これらの機能が弱まると、

• 心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などの心臓血管疾患。
• 糖尿病
• 肺炎・気管支炎
• 早産。低体重時出産
• 骨粗鬆症
• 関節炎、糸球体腎炎
• 認知症

の原因を引き起こします。

たかが、歯一本削るくらい。。。大袈裟なとお思いかもしれません。

たかが歯、されど歯です。

当院では、虫歯などの治療においても天然の歯は大きく削らず、ギリギリのところで削ることを控えています。まれに削りが足りなくて痛みが再発することもあります。ですが歯の機能を低下させるより、ギリギリを攻める方が患者さんにとって有益だからこその治療方針であると自負しております。

辛い思いをさせてしまうことのあるかもしれません。

辛い思いをしたく無い方こそ定期検診を欠かさず、万が一にも歯を失いかけたら、噛む力を継続できる治療方法を選択をお勧めいたします。