青森市緑にある歯科医院 [ミドリデンタルクリニック]

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全部の歯をブリッジにするリスク

青森市の歯医者「ミドリデンタルクリニック」工藤瑞恵です。

こんにちは。今日は義母の口の中の話をしたいと思います。

義母は、元々虫歯リスクの高いタイプです。

30年〜40年前、通院していた歯医者さんで全部の歯をセラミックでブリッジにするという治療を受け、何度か作り直しを繰り返し現在に至っています。

見た目もとっても綺麗に仕上げていただいていましたので、本人もお気に入りの歯でした。

その義母が昨年、脳梗塞を患いました。

おかげさまで同居している義姉が居合わせたので、早期に病院へ到着し治療を受けさせていただくことが叶いました。

入院中も家族の心配をよそに快適で、快適で、心配しないでね。というほど本当に良くしていただきました。

退院後の今も、もちろん元気に過ごしています。

お世話になった病院の先生方や、看護師さん、スタッフの皆さまには本当に感謝しています。ありがとうございました。

ただ、残念なことに口腔内環境に大きな変化がみられたため歯の治療を開始することになりました。

今回、義母に行う治療は一般の患者さんにはリスクが高くてお勧めできない治療を選択しています。

なんでそんな治療方法を話すのと思った方も多いことでしょう。

私もそんな方法があるならやってみたいと思った方がいらっしゃったら申し訳ありません。

絶対にお勧めできませんので治療方法としてご提案することはできないためあえて、お知らせしたいと思ったのです。

そして今後皆さまには、くれぐれも義母と同様の治療方法「全部の歯をブリッジにする」を選択し、将来辛い思いをしないようにして頂きたいのです。

義母は、今年78歳になります。体力は十分にあり、昨年の脳梗塞を患って定期的にお薬を飲んでいることを除けば若々しく元気だと思います。

義母が選択したのは「ブリッジ」ですから、歯と歯の間に隙間もなく全部がつながっています。

昔の治療方法にはこういう歯を全部ブリッジにするという方法が多々選択されていました。

見た目は綺麗ですし、虫歯リスクの高い義母には口腔内の虫歯菌の管理をしていくのにはセラミックの選択は最善の方法だったと思います。

ですが、今回病気を患ったことで、長きに渡り頑張ってきたブリッジをかけていた歯の健康が保てなってしまったのです。

もちろん病気だけではなく歯茎の骨も年齢的なものもあり痩せてきています。

そのため定期メンテナンスを行いながら持たせていたブリッジに使っていた自分自身の歯の半分がついに使えなってしまったのです。

本来14本ある歯を残っている数本の歯で橋かけして支えてきたのですから、頑張ってくれた方だと思います。

現状は、

  1. 右半分のブリッジの橋かけしていた柱となる歯がダメになってしまった。
  2. ブリッジに使っていた歯の中で残せる歯が微妙な場所に、残っているため、残せる歯を利用することができない。
  3. 残せる歯が前歯2本あるが、入れ歯にした場合、見た目は針金が目立つ形状になる。
  4. 食事めちゃくちゃしずらい。
  5. 左半分はそのまま残せる状況である。

そのため院長が選択したのが、セラミックの歯を真ん中から半分に割り、埋め込みが可能な場所、右半分にそれぞれ3本のインプラントを埋込してセラミックの被せ物を行っていく治療方法です。

まずは、セラミックの歯を真ん中から半分に切り分ける治療です。

セラミックがが変な割れ方をしたらアウトですし、セラミック自体も古いものなのでどこでパキンっと割れるか分からない、賭け事のような治療です。義母の治療でなければ院長も絶対に提案しない方法です。

ですから、真ん中から切断する時も慎重に慎重に行いました。

今回はなんとか上手く半分に切ることが叶いましたので本音を言えば、ギリギリセーフ(笑)

ではなぜ、実の母とはいえ成功率が50%もない治療方法であるセラミックを半分にし、インプラント埋込という治療方法を選択したのか?

高齢の義母はいくら元気に見えていても、食事が流動食になってしまえば、一気に体力も落ちてしまうことが予測されます。

見た目も、噛むことが叶わないせいで全てが一気に衰えてしまうことが予測できます。

そのため右半分の治療にチャレンジしてみて、ダメなら左半分の歯を別な方法で治療し、なんとか流動食を避ける方法を模索しようとゴールの見えない治療方法を選択したにすぎません。

ですから、辛い治療が待ち受けていますし、ゴールが見えないので通常私たちを信頼し通ってくださる患者さまには決して提案しませんし、出来ません。

もちろん治療期間も噛める歯が半分になってしまっていますので、決して快適な食事ができるわけではありません。

義母に至っては息子に治療してもらっているという意識も働いているのだと思います。

泣き言一つ言ってきませんが、治療中の現在、食べたいものが思うように噛めず、本当に辛いと思います。

年明けに、もう少し頑張ってもらって今年は、沢山美味しいものが食べれるようになったら一緒に食事にいこね。と院長が義母にメール送信をしていました。

後から義姉から、お義母さんが優しいメールが来たと喜んでるよ!と教えてくれたほどですから、息子が治療をしてくれているという一心で我慢しているのでしょう。

これから、約半年から一年義母には辛い治療期間が待っています。

院長もできるだけ早く治療が終わるように努めたいと思っています。

ですが…

当院に通ってくださっている患者さんには義母と同じ辛い治療をゴールも見えないので提案できません。

ですから繰り返しになりますが今後治療を行う際には、歯を全部ブリッジにする方法はお勧めできません。

技術は日々進歩していますのでぜひ、カウンセリングを受けて将来を見据えた治療方法をご選択いただけたら幸いです。