青森市の歯医者「ミドリデンタルクリニック」工藤瑞恵です。

皆さん聴き慣れない文字が並んでいますね。
抜歯即時義歯、簡単にいうと虫歯で歯の根っこも、歯そのものもダメになってしまったという時に作る入れ歯のお話です。

一般的な入れ歯は、抜歯後2〜6ヶ月間歯茎の形が落ち着くのを待ってから入れ歯のための型取りを行います。
しかし抜歯即時義歯は抜歯の前にあらかじめ型をとって歯と歯茎の模型を作ります。
そしてこの模型上で後日抜歯する予定の歯をけずり、先の模型上で仮想的に抜歯した状態な合わせて入れ歯を作る治療方法です。

順序的には、

1. 歯がダメになっってしまいました。
2. 残念、根っこもダメです。
3. 歯を取り除くための抜歯をしなくてはいけないお話をします。
4. 治療方法を選択します。
5. 入れ歯を作ることにします。
6. 抜歯する前に歯と歯茎の型取りをします。
7. 技工士さんに入れ歯を作ってもらいます。1週間ほどで仕上がります。
8. 入れ歯の技工物ができてきたら抜歯します。
9. 抜歯当日入れ歯をセットします。
10. そのまま入れ歯を入れた状態でお帰りいただけます。

この「抜歯即時義歯」は見た目的に抜歯した歯の部分がスカスカで辛いとか人と会えないなどという状況を回避することが叶います。
保険制度を利用した治療も可能ですが条件が様々あります。
歯周病が比較的進行していて、前歯などをまとめて抜歯する必要があったり、先に抜歯をしてしまうと入れ歯のバネと言われる固定用の金具の部分の歯がなくなってしまうなどある程度の緊急性がある場合に行われる治療方法です。

メリットは、

1. 時間的ロスが少ない。
2. 当日に入れ歯が入るので審美的な変化に悩む必要がない。
3. 歯がなくて噛めないなどの状況を避けられる。

デメリットは、

1. ①抜歯すると次第に歯茎が退縮して痩せていきます。そのため入れ歯と歯茎の間に時間と共に隙間ができ短期間で合わなくなります。合わなくなった場合には隙間を埋めるため樹脂を追加して修理を行います。
2. 痛みを発症することがあります。あくまで模型上で仮に抜歯を行うため、本来の口の中と一致しないため入れ歯が当たって痛みを伴うことが多々あります。

保険適用ではありますが、あまり来言いたことがない治療方法であるのには理由があります。
それは、言葉だけで判断すると合理的で、スピーディー、患者さんのご負担が少ないように聞こえます。しかし実際は、入れ歯は高い精度があって初めて歯茎にしっかりと密着することで、痛みの少ない入れ歯が完成します。つまり、抜歯即時義歯は模型上の推測で抜糸を行う上に、抜糸後の歯茎の変化と二段階のずれが生じます。そのため１ヶ月から２ヶ月の間に精度にずれが生じることが多いのです。

そして保険適用のルールの観点の問題として、抜糸即時義歯も普通の入れ歯も保険診療の場合基本的に１回作成すると６ヶ月以上の使用を前提としているというルールがあるため、合わないなどの不具合が生じても１〜２ヶ月で不具合が生じても新しい入れ歯を作り直すことが叶わないのです。

健康保険のルールはたとえ病院を変えても、利用ができないのでもし抜糸後短期間だけ使用して、新しい入れ歯を作りたいと言った場合は、２つの入れ歯のどちらか自由診療の対応となります。

このため、抜歯即時義歯は作らずに、ある程度期間を開けて、入れ歯を製作する方法が一般的なのです。

入れ歯を作る際は、ご自身のお口の中の情報をよくご考慮いただいた上で、メリット＆デメリットを納得し製作が可能かどうかを、当院にてご相談いただくことをお勧めしています。