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青森市の歯医者「ミドリデンタルクリニック」工藤瑞恵です。
先日、歯は痛くないのに歯茎から出血するとのお悩みの患者さんがご来院されました。
歯周病だ。。。
歯周病はいつの間にか進行していきます。年齢を重ねるごとに罹患者が増え、歯の本数が減っていく病気です。
公益財団法人「8020推進財団」が2018年に発表した「永久歯の抜歯調査報告」によると、日本人が歯を失う原因の第1位が「歯周病」となっています。
日本人は特に歯周病の罹患者が高いと言われており、35歳のおよそ8割が歯周病になっているというデータもあります。近年では若い世代にも歯周病は広がってきており、5歳〜9歳の約4割が歯茎に何らかの違和感を抱えていると言われています。
歯周病最大の原因は歯磨きで口腔内に取り残されたプラーク(歯垢:歯の表面につくネバネバしたもの)です。
歯周組織は歯ぐき、歯槽骨、歯根膜から形成されています。
このうち歯ぐきにだけ炎症が発生している状態を「歯肉炎」、歯槽骨まで炎症が広がった状態を「歯周炎」。「歯肉炎」と「歯周炎」の総称を「歯周病」です。
プラークは毎回の食事はもちろん、おやつや間食、あるいは飲み物を飲むだけでも歯や歯茎に付着します。
そしてプラークは時間の経過とともに細菌が繁殖して、やがてより硬い歯石へと変化します。歯石はプラークが石灰化したものです。つまり歯石になる前にプラークをこまめに取り除くことが歯周病を防ぐ重要なポイントとなります。
CMなどで「プラークコントロール」という言葉をよく耳にしますが、35歳以上の約8割が歯周病という日本人は、「プラークコントロールを正しく理解できていない」とも言えます。
「歯周病」は細菌の感染によって起こる歯を溶かす、つまりお口元の骨を溶かす怖い病気です。
生まれたての赤ちゃんの口腔内に細菌はいません。
歯周病も虫歯も感染によって発生します。
そのため特に小さなお子さんをお持ちの親御さんにお箸の共有、ペットボトルの飲み回しの危険性をお話ししております。
さて話を元に戻して、歯周病になってしまうと、ご自身の歯を失う危険にさらされ、毎日当たり前にできている楽しい食事ができなくなってしまうだけでなく数多くの症状や病気の原因となることがわかっており、「万病のもと」と言って恐れられています。
歯周病菌は様々な病気のリスクを高めるからです。
しかし歯周病という病名のせいか歯の病気と考えている方が少なくありません。
この病気の恐ろしいところは単に歯を失うことだけではない点です。
歯周病の本当の恐ろしさは、歯周病菌が歯ぐきから血管内に侵入して
「血流に乗って全身を巡ること」
にあります。
歯周病が原因で発生する主な病気と症状は、糖尿病、高血圧、脂質異常症、がん、メタボリックシンドローム。心臓病、心筋梗塞や脳卒中、認知症、誤嚥性肺炎、非アルコール性脂肪肝炎。女性の場合子宮内膜症や早産。
特に国民病と言われている糖尿病を発症すると健康な人と比べて2倍以上も歯周病にかかりやすくかつ重症化しやすいことがわかっています。
糖尿病を発症すると免疫力が低下するので歯周病の増殖を抑えにくくなます。一方歯周病になると、炎症のある組織から産出される炎症促進物質が血液中に入り込み、血糖値を下げるインスリンの働きを妨げてしまいます。
また、脂肪肝も歯周病と関係しています。脂肪肝が進行した状態のひアルコール性脂肪肝炎の方は、健康な方の約4倍も歯周病の割合が高いと言われています。逆に歯周病の治療を行うことで、肝機能が改善がされたという報告もあります。
このようなことから、歯周病つまり口腔内の細菌はは万病の元になっているといっても過言ではないのです。
ただ口腔内の細菌にも良いものと悪いものがありますので、日常お使いになる口腔ケアグッズにこだわりを持ち、定期的にプロのメンテナンスを受けご自身のお身体の健康を守っていただければと思います。